4時起床。5時前の電車に乗り、羽田空港へ。さすがに眠いが、平日で会社に向かう人たちに囲まれながら旅行へ向かうというのは結構気分の良いものである。
羽田06:55発のJAL1183便に乗り、女満別へ。所要時間は約1時間45分。しかし、離陸直後に眠ってしまったため、あっという間に着いた感覚だった。

空港を出て真っ先に感じたのは、寒いということである。外の温度計を見ると、15℃という表示になっている。さっそく持ってきたパーカーを羽織ったが、それでも少し寒いくらいだ。やはり、北海道の寒さを侮ってはいけない。
レンタカーを借り、知床の玄関口、ウトロを目指す。運転距離は約80キロで、かれこれ1時間半以上掛かったが、さすがは北海道、景色がとにかく雄大で、長時間の運転が全く苦にならず、むしろ気持ち良かった。ただ、快適過ぎて、気を付けていないといつの間にか100キロ近いスピードが出ていたりする。そりゃ、事故が多いわけだ。



ウトロに着いたのが11時前だったので、ガイドブックでもネット上でも評判の良かった「一休屋」で早めの昼食をとる。ウニは漁期間が終わってしまっていた(6月から8月までらしい)ので、サケといくらの親子丼を食べる。サケには脂がのっているし、いくらの塩辛さと食感がたまらない。やっぱり、こういう料理を食べると、旅行に来たなーという感じがする。

昨日からの心配が的中し、午後から予約していたクルーズは強風による高波のため中止となってしまった。とりあえず明日の午後のクルーズを再予約したが、これも当日にならないと出航するかどうかはわからないとのこと。こればかりは、自然のご機嫌如何なので、何とも言えない。

気を取り直して、「道の駅うとろ・シリエトク」で名物だというソフトクリームを食べる。知床の名産品だというコケモモとハマナス(ローズヒップ)という2種類を合わせたソフトクリームで、めちゃくちゃ美味しい。おそらく、牛乳が良いのと、コケモモとハマナスの風味がしっかりしているのだと思う。びっくりするくらい美味しくて、クルーズ欠航の落ち込みが一気に飛んで行った。

車に乗り、ついに知床の世界遺産区域に入る。この時期は自家用車の交通規制は実施されておらず、カムイワッカの湯まで自由に行くことが出来る。道沿いの景色はとにかく絶景ばかりで、何度も車を止めて眺めてしまった。また、途中でキタキツネとも会うことが出来た。思っていたよりも凛々しい。それほど警戒心が強くないらしく、一定の距離は保っているもののすぐに逃げたりはしない。まさかこんなにすぐに会えるとは思っていなかったので、これには驚いた。本当に、普通にそのへんにいるんだ。



まずは、カムイワッカ湯の滝へ。温泉が流れる川で、入浴するには少し温度が低いが、足湯感覚で入っていると気持ち良い。ただ、硫黄分が結構強いので、足に傷があったりするとピリピリと傷む。ちなみに、「カムイワッカ」というのはアイヌ語で「神の水」という意味らしい。当時のアイヌの人々は、硫黄分の強さから人や動物がここの水を飲むことが出来ないことから、「これは神様が飲む水なんだ」と解釈したのだそうだ。確かに、この川を歩いていると、気持ち良さと同時に何か神秘的なものを感じる。





カムイワッカから知床五湖へ移動する途中、またしてもキタキツネと遭遇する。場所的にも、先ほどと同じキツネかもしれない。なんてかわいいんだろう。それにしても、やっぱり随分と尻尾が長いもんなんだなー。


知床五湖ではこの時期、フィールドハウスでレクチャーを受けてから散策に出掛けることになる。このレクチャーは、自然環境を保護するためにという意味に加えて、熊から身を守るために行われている。どうやら、知床は日本有数のヒグマの生息地らしい。というわけで、レクチャーは半ば脅しのようなものだった(良い意味で)。
熊への恐怖に慄きながら、散策開始。3キロ程のルートを、約1時間半ほど掛けて歩く。これほどまでに「神秘的」という表現が似合う場所があるのだろうかと思うほど、素晴らしい景色と空気に包まれた場所である。時々立ち止まって辺りを見回すと、全く別の世界に来たんではないかと思うほどの特殊な雰囲気に包まれていて、ふわふわとした感覚になる。良い意味で、熊への恐怖心など忘れてしまうほど魅力的な空間である。








これはおそらく、熊さんの爪のあとですよね…。



湖面が鏡になって、木々が見事に逆さになっている。











野生の鹿さんを発見。
知床五湖の入口にあるサービスセンターに立ち寄り、鹿肉コロッケとコケモモワッフルを食べる。先ほど鹿を見たばかりなので少し抵抗もあったが、欲望が上回った。特に臭みもなく、食感の良さが印象的だった。また、コケモモの甘酸っぱさはワッフルにしても健在で、改めてその素材としてのポテンシャルの高さに驚かされた。普段はなかなか注目することのない果物だが、実はかなり汎用性が高いのではないだろうか。



ウトロへの帰り道、道端で鹿の親子と出会う。私が車から降りて近づいても、気にせず草を食べている。警戒心のなさ…。しかしまあ、奈良の鹿のようにエサをねだって近づいてくるわけではないので、野生としてはこれぐらいがちょうど良いのだろうか。

今日の宿「しれとこ村つくだ荘」にチェックイン。かなり古い旅館(というか国民宿舎っぽい)で、洗面所やトイレは共用なのだが、清潔感はあるし、温泉と料理に定評がある宿だ。夕食まで少し時間があったので、とりあえず温泉へ。塩化物・炭酸水素塩泉という分類になるらしい赤みがかったお湯(源泉かけ流し)で、肌はツルツルになるし体も一気に軽くなった。その後は、先ほどの「道の駅うとろ・シリエトク」で買ってきたコケモモロールケーキをはじめとする地場産品をつまみながら、部屋でゴロゴロして過ごす。




夕食は、聞きしに勝る豪華さだった。まず、毛ガニが1杯丸ごとついてくる。更に、鹿肉やホッケ、ホタテ、お刺身(サメガレイ、秋刀魚、北寄貝、甘エビ)、更には石狩鍋まで出て来た。蟹が美味しいのはもちろん、脂ののったホッケやサメガレイのお刺身の美味しさが印象的だった。初日から、贅沢過ぎる。いきなり知床の良いところを全部食べてしまったような気がする。

毛ガニ。見た目以上に身がたっぷり入っている。

鹿肉のタタキ。やっぱり、臭みもなくさっぱりとした味わい。


左から、甘エビ、サメガレイ(上)、北寄貝(下)、秋刀魚。

食事を終え、部屋でゴロゴロして本でも読もうかと思っていたのだが、今朝が早起きだったこともあって、20時過ぎにはウトウトし始め、結局そのまま眠ってしまった。何と幸せな1日だこと。
